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2021/04/28

高等学校

2021年度国本女子中学校高等学校入学式・校長式辞

2021年度国本女子中学校高等学校入学式・校長式辞

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 新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を、教職員一同心待ちにしていました。一日も早く国本の雰囲気に馴染んで、有意義な学校生活を送るようにしてください。教職員が力を合わせて、皆さんをしっかりとサポートしていきます。

 また、保護者の皆様、本日はおめでとうございます。お嬢様のご入学を心からお祝い申し上げます。ひとりひとりが将来の進むべき道を確立できるように丁寧に指導して参りますので、ご理解ご協力のほど心からお願い申し上げます。

 さて、国本学園は、有木春来先生によって創立されて以来、今年で79年になります。来年の2022年は創立80周年という節目の年を迎えます。

 有木先生は、津田塾大学の前身である津田英学塾で英語を学び、当時の女性としては数少ない開明的で進歩的な考えを持っていた方でした。先生は、近い将来、英語をコミュニケーションツールとして、国の内外で女性が活躍する時代が到来することを予想していました。自らの理念に基づいた学校で女子教育を実践しなければならないとの思いに駆られ、この喜多見の地に国本学園を創設されました。

 英語教育が重要になるという将来を見据えていただけでなく、今でも授業で実践されている「茶道」「華道」のような情操教育も重視されていました。いわば《和魂洋才》を体現する女性を育てたいと考えていたのです。伝統的な情操性を失うことなく、欧米に精通した知識を持っている女性の育成こそ、国本学園の教育の原点です。《和魂洋才》を体現した女性の教育は、英語やITCリテラシーを重視する今日の国本教育のルーツになっています。

 しかし、語学やITCのリテラシーだけで本当の意味での異文化コミュニケーションは成立しません。知性や教養に裏打ちされた豊かな内面性を伴っていなければ不可能なのです。これこそが国本学園が重視するもうひとつのリテラシーです。そのバックボーンになっているのが有木春来先生の信条である「人に善かれかし」という名言です。これは、エゴイズムを意味する利己主義とは真逆の《利他主義》を意味しています。弱い人、困っている人がいれば進んで手を差し伸べなさい、と有木先生は言っています。この《利他主義》こそ、格差や差別がはびこるようになった現代の世界で、人々が共生し連帯するための指針となるものです。
  
 その一方で、日本社会の現状は、男女平等がどの程度実現されているかを表す《ジェンダー指数ランキング》では、世界156ケ国の中で120位という結果でした。先進7ヶ国=G7の中でも最下位です。この数字が意味していることは、日本社会が女性に対する偏見や差別が今でも深く根を張る社会だということです。

 たとえば、上場企業の管理職の女性割合は、わずか6.2%に過ぎず、この項目では世界139位という目を覆いたくなる数字です。国会議員に関しても同じで147位というワーストのグループです。つまり、企業や政府の意思決定に女性が参加させてもらえていないのです。逆に、グーグルやアップル、さらにはマクドナルドやユニクロのように積極的に女性幹部を登用している企業は、多様な意見を取り入れることによって企業の競争力をドンドン高めています。

 国本女子に入学された皆さんは、毎日の勉学や部活動を通して2つのリテラシーを学び、将来、自立した女性として社会で活躍し、様々な場面で創立者の言葉「人に善かれかし」を実践できる人になってください。弱い人や困っている人に手を差し伸べ、その声を代弁して発信して行ってください。期待しております。本日は本当におめでとうございます。これをもちまして入学式の式辞とさせて頂きます。

2021年4月8日
国本女子中学校・高等学校 校長 坂東 修三