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2021/05/28

高等学校

5月12日朝礼:校長講話

《ホモソーシャルからダイバーシティへ》 ― 異論を唱える発信力を

 全校生の皆さん、おはようございます。新年度4回目の朝礼講話の時間です。
今朝のキーワードは、いろいろと異なる人々や意見が共存することを意味する《ダイバ ーシティ》日本語で《多様性》と、もうひとつは、似た者同士の、男性だけが集まっている集団や組織を社会学では《ホモソーシャル》、日本語で《同質社会》と呼びますがこの2つの言葉についてお話したいと思います。

 話題に取り上げるには、やや旧くなりましたが、2月に東京オリンピック組織委員会の 前会長が、「女性がいると会議が長くなる」「女性はわきまえなさい」などの発言をして 、ごうごうたる非難を浴び、結果として会長を辞めざるを得なくなりました。 この方は、おそらく会議は男性だけで、異論を唱える人が誰もいない会議だけを経験し てきたのだと思います。いちいち言葉で意見を言わなくても、「以心伝心」「阿吽の呼吸 」でみんなが「空気を読んで」それこそ「忖度」しながら、なんとなく結論やコンセンサ スに到達できたのです。《以心伝心》《阿吽の呼吸》《空気を読む》《忖度》、どれもこ れも言葉を必要としないコミュニケーションです。これは、《村社会》《村落共同体》に 特有のコミュニケーションです。その意味では、日本社会はまさに《村社会》の体質が、 意思疎通を規制するコードとして今日でも温存されている社会と言えます。似た者同士の 、男性だけが集まっている集団や組織を社会学では《ホモソーシャル》、日本語で《同質 社会》と呼びます。たしかに、似た者同士の仲良しクラブ的な《同質社会》ならば、会議 はスムーズに進むかもしれません。ちなみに、東証一部上場企業2160社における女性取締 役の割合はなんと1.2%です。女性を排除して物事を決める歴史が一向に改まっていません 。政治の分野だけでなく、民間の企業分野でもジェンダーギャップが根深いことを如実に 示すデータです。先ほどの《ジェンダーギャップレポート》のランキングでは、他国に大きく劣後していて139位という先進国では最低のポジションです。

 そうした企業の会議からは進歩や変革、イノベーションやブレイクスルーは生まれるで しょうか。組織や社会の進歩は、様々な人々の異なる意見や価値観が衝突し、摩擦し合う中からしか生まれて来ないのです。つまり、《ダイバーシティ=多様性》の中からしか出 て来ないのです。そこで大切なのは、言葉によるコミュニケーション力です。 最近、コロナ禍でのオリンピック開催に対して賛否の声が大きくなりつつありますが、 陸上1万メートルの代表候補で日本記録保持者の新谷仁美(にいや ひとみ)さんが、「アス リートとしては賛成だけど、人として、国民としては反対です」とコメントし、「命とい うものは、オリンピックよりは大事なものだと思う」と勇気ある発言をして話題になりま した。

 全校生の皆さんが、言葉によるコミュニケーション力を磨き、異なる意見や考え、異論 を唱えることのできる高い発信力を身に付け、将来、《国本OG》として《ダイバーシテ ィ=多様性》を所属する会社や組織にもたらす人材になるよう期待しております。皆さん なら出来ます。以上で第4回目の朝礼講話を終わります。

国本女子中学校・高等学校
校長 坂東 修三